うつ症状に作用する漢方薬の科学的メカニズム マウスを使った実験で実証されつつある

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ストレスホルモンの分泌が正常化

東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム (ブルーバックス B 2261)
『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム 』(ブルーバックス)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

研究チームは、香蘇散を投与してうつ症状が回復したマウスを調べたところ、視床下部にあるストレスホルモンの受容体の数が回復し、それぞれのストレスホルモンの分泌に関わる遺伝子の発現も低下していました。

つまり、香蘇散の投与によってHPA軸の活性化が鎮まり、ストレスホルモンの分泌が正常化したことで、うつ症状が改善されたと考えられるのです。

また、こうした作用をもたらす薬理成分についても、香蘇散の生薬のうち、ソヨウのペリルアルデヒドやロスマリン酸、また、チンピのヘスペリジンやノビレチンなどが関わっている可能性があります。

このほかにも、香蘇散には、うつ症状と関係が深い脳の記憶を司る海馬の神経への作用などが確認されており、古来から伝えられてきたうつ症状に対するメカニズムが実証されつつあるのです。

山本 高穂 NHKメディア総局 第2制作センター チーフ・ディレクター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまもと たかお / Takao Yamamoto

NHKメディア総局 第2制作センター チーフ・ディレクター。1971年東京都生まれ。1997年北海道大学水産学部卒業後、NHK入局。自然科学や健康・医療分野の番組を中心に制作。主な担当作品に、特集番組シリーズ「東洋医学ホントのチカラ」、NHKスペシャル「謎の海洋民族モーケン」「病の起源・うつ病」「巨大災害 MEGA DISASTER・火山大噴火」、ダーウィンが来た!、クローズアップ現代、サイエンスZEROなど多数。

この著者の記事一覧はこちら
大野 智 島根大学医学部附属病院 臨床研究センター長・教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおの・さとし / Satoshi Ohno

島根大学医学部附属病院 臨床研究センター長・教授。1971年静岡県浜松市生まれ。1998年島根医科大学卒業、2002年同大学大学院修了(医学博士)。その後、金沢大学、東京女子医科大学、帝京大学、大阪大学などを経て2018年より現職。2022年から島根大学医学部附属病院副病院長を兼務。東洋医学を含む統合医療・補完代替療法をテーマに学生講義や医療者・一般向け講演を精力的に行う傍ら、新聞、テレビ(NHK「あさイチ」「クローズアップ現代+」「ガッテン!」など)、ラジオなどメディア出演も多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事