うつ症状に作用する漢方薬の科学的メカニズム マウスを使った実験で実証されつつある

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実験では、人為的にうつ状態にしたマウスに対し、香蘇散を体重100グラムあたり0.1グラム、9日間投与しました。その結果、香蘇散を投与したマウスでは、水を与えたマウスより40%以上もうつ症状による行動の低下が改善されたのです。

うつ症状に関わるHPA軸に注目

そこで、研究チームが注目したのは、うつ症状に関わるHPA軸と呼ばれるメカニズムです。HPA軸はストレス反応を制御するメカニズムで、「視床下部―下垂体―副腎皮質系」を軸として、副腎皮質ホルモン(ストレスホルモン)を分泌します。

通常、副腎皮質から分泌されたストレスホルモンの量が増えると、視床下部や下垂体の受容体で感知され、視床下部からのホルモン(CRH)や下垂体からのホルモン(ATCH)の量が低下し、ストレスホルモンの過剰な分泌を抑制するネガティブフィードバックがはたらきます。

ところが、過度なストレスなどが続くと、視床下部のストレスホルモン受容体の数が減るなどして、この仕組みが破綻してしまいます。すると、HPA軸が過剰に活性化し、大量のストレスホルモンが分泌され続けてしまい、うつ症状を引き起こすと考えられています(下図参照)。

出所:『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム 』より
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