富士急が買収「西武の遊覧船」小田急にどう対抗? 2人の人気鉄道デザイナーが芦ノ湖で「競演」

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こうして完成したそらかぜが今年2月に就航した。客室内は、靴を脱いで大きな窓越しに操舵室を見ることができるキッズスペースや畳を敷いた小上がりスペース、ハンギングチェア、赤富士をイメージしたソファーなどさまざまな席を配置した。間取りをゆったりと取った分、定員は700人から550人へと変更された。

そらかぜ船内 ソファー
赤富士をイメージしたソファー(写真:富士急行)
そらかぜ 船内 畳敷き
畳敷きの小上がりスペース(写真:富士急行)
そらかぜ 船内 ハンギングチェアー
ハンギングチェアもある(写真:富士急行)

船外は3階デッキには天然芝を敷き詰めたエリアだけでなく、ブランコがあり、4階デッキには玉砂利デザインの飛び石などが配置されている。まさに「湖に浮かぶ緑の公園」である。

そらかぜ 4階デッキ 飛び石
4階デッキには「飛び石」が。デザイナーの川西氏が”けんけん”を楽しむ(記者撮影)

箱根エリアへさらなる投資は?

外観は赤い水引風のラインが入っている程度で、あまり手を加えていない。「芦ノ湖には船のペンキ1滴もこぼすことは許されない」と川西氏。せっかくのリニューアルなのだから外観を大胆に変えてもよかったのだろうが、川西氏と富士急は自然保護を優先した。

箱根遊船 そらかぜ 外観
外観は「はこね丸」時代からあまり手を加えていない(記者撮影)

「改造にかかった総費用は2億円」と川西氏が明かす。海賊船の建造費と比べると数分の1だが、それは船舶を新造したか、既存船を改造したかの違いである。実は富士急はほかにも箱根エリアに対する投資を行っている。遊覧船事業の買収に先立つ2022年2月、箱根と熱海の中間に位置する十国峠のケーブルカーとレストハウスを西武グループから取得した。

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