富士急が買収「西武の遊覧船」小田急にどう対抗? 2人の人気鉄道デザイナーが芦ノ湖で「競演」

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富士急はグループ内のアウトドア運営会社と連携し、十国峠の山頂にグランピング施設を2023年4月にオープンさせた。山頂だけあって目の前には富士山から駿河湾まで360度の大自然パノラマが広がる。山頂を視察した堀内社長が「この景色をもっと活用すべきだ」として、グランピング施設の設置が決まったという。宿泊施設は建設したのではなく、下部に車輪が付いたトレーラーハウスを置いているだけなので、自然への配慮がなされている。

十国峠ケーブル
富士急が2022年2月に西武グループから取得した十国峠のケーブルカー(記者撮影)

箱根エリアへのさらなる投資は「いまのところ計画はない」(富士急)というが、否定しているわけでもない。たとえば、芦ノ湖の湖尻ターミナルではレストハウスも取得しているだけに、今後は改装して機能を強化し、そらかぜが湖尻ターミナルに延長運航する可能性は高い。

また、元箱根港と箱根関所跡港の飲食店・物品販売事業は西武グループが今も運営しているが、これらも富士急が取得して運営すれば、そらかぜとの相乗効果が図られるはずだ。さらにいえば、西武グループが箱根エリアでホテルや水族館などの事業も展開しており、これらが将来、富士急に移管されると考えてもあながち夢物語ではないだろう。

富士急と小田急、手を取り合い活性化を

かつて西武と小田急が箱根エリアで顧客争奪戦を繰り広げた様子が「箱根山戦争」と言われたのはあまりにも有名だ。現在もそらかぜと海賊船は同じ芦ノ湖を運航するライバル同士だが、両者をよく知る地元関係者は「同じ場所で運航するという点では確かにライバルだが、客を奪い合っていることはなく、むしろ棲み分けている印象だ」と話す。富士急サイドも「新参者として、箱根の流儀を学ばせていただく立場」としており、小田急に真っ向から挑戦する考えはなさそうだ。

箱根遊船 箱根海賊船
芦ノ湖上で「競演」するそらかぜ(手前)と海賊船(記者撮影)

現代は観光・レジャーが多様化し、黙っていても箱根に観光客がやってくる時代ではない。富士急と小田急が手を取り合って箱根エリアを活性化していくことが必要だ。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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