スカイマークvs大口債権者、舌戦の一部始終 債権者向け説明会で際立った両社の"深い溝"
上田裕康弁護士(イントレピッドの代理人): ANAHDがスポンサーになるということは、スカイマークの“第3極”としての存在意義が失われるのではないか。
中原健夫弁護士(スカイマークの代理人):スポンサー契約を締結する中で、スカイマークがこれまで培ってきた独自の企業価値や航空業界における地位・役割を維持・発展させていくという合意をしている。また、今回のスポンサー契約はインテグラルが過半数を保有する計画だ。出資比率から見ても、第3極というコンセプトはきっちりと守られると考えている。
重要事項の決定についての権限はかなり細かく決めており、あくまでスカイマークにとってメリットのあることを実現できる仕組みにしている。ANAにだけメリットがあり、スカイマークにとってメリットがないものは決定できない。役員構成だけでなく、権限についても詳細に議論したうえで、今回のスポンサー契約に至っている。
ANAHDの長峯豊之取締役:スカイマークはこの20年間、日本の航空自由化の象徴的な先駆者として、新しい航空需要の発掘・創造に貢献した。事業再生の経験のある当社がスポンサーとして支えていけば、日本の航空業界の発展に貢献できるのではないかと考えている。
運賃の設定やネットワーク、便数や路線のあり方などはスカイマーク自身で決める。決定プロセスにANAは関与しないと明確にうたっているので、心配には及ばない。
ANAが支援する蓋然性
上田弁護士:そうしないと独禁法の関係もあるということだろう。ただ、ANAHDの資本が入ると、スカイマークには事実上の制約が課せられるのが自然だ。逆に、ANAにとって事業上なんら関係もない、単にスカイマークの事業再生のためにだけ協力するということであれば、特にANAでなくても構わないのではないか。
長峯取締役:さきほどはスカイマークとしてのメリットを説明したが、たとえばコードシェア(共同運航)を始めれば、当社にとっても販売する路線が拡大したり、ネットワークの拡充によって客への利便性が上がる。競合他社に対して優位性が得られ、ひいてはANAとしてのメリットにもつながる。
自由な行動を制約してしまうのではないか、なぜほかのエアラインではダメなのか、という指摘もあったが、スカイマークが保有する羽田の発着枠は国内線だ。その意味で、スカイマークの事業を再生させることができるのは、国内線の運航経験が豊富なわれわれではないか。
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