中国人の"ニセモノ信仰"はいつまで続くか?

実はそろそろ「うんざり」な人も

日本では信じられないことだが、ニセモノが氾濫している中国に住む人々は、お札に限らず、多くのものに対して「本物かどうかわからない」という疑念を持っており、つねに「そういうこと(ニセモノをつかまされること)があっても不思議ではない環境下」で暮らしている。

えっ、どういうこと? と読者の皆さんは不思議に思うかもしれない。ニセモノの話に行く前に、もう少しニセ札の話があるので続けよう。

学校集金でお札に氏名を記入

私がこのエピソードを別の中国在住の友人たちに話したところ、出るわ出るわ、ニセ札関連エピソードが次々と飛び出した。たとえば、「学校や会社で何か行事があって集金するとき、お札に直に名前を書かせるんですよ。陳とか王とか。ほら、この写真(1ページ目写真)にも文字がある。だから文字がある方が本物だな、とピーンときました。万が一、ニセ札が見つかったとき、誰が提出したお札か判別するためなんです」(上海在住の友人)。

「うちの子どもの話ですが、学校で教材費などを集める際、すべての紙幣番号を記載した紙も一緒に提出していました。300元なら3枚だけで済みますが、298元だと大変なことになる(笑)。一家総出で記入しました」(1年前まで広州に住んでいた友人)

ちなみに中国の紙幣は100元(約2000円)が最高単位の通貨で、50元、20元、10元、5元、1元札がある。1元以下はコインもある。100元以上の単位はないので、100元札のお釣りが戻ってくるということはあり得ず、100元のニセ札をつかまされる場合、冒頭のようなすり替えの手口がしばしば使われる。

ほかにも「趣味の会で集金したとき、“ニセ札チェック用ライト”でチェックしました。ライトは安物なのに、お札に当ててみたら、見事に識別できてびっくりしました」(北京在住の友人)なんていう話も……。そんな安いライトで簡単に識別できるというのも不思議な話なのだが、普通の人がそういうライトを携帯していて、つねに神経を尖らせて生活しているのが“普通”、というのも日本人の常識から見れば異常だ。

延々とニセ札談義を述べてしまったが、このように中国ではニセ札は日常生活のそこここに存在する。スーパーで買い物するときも、100元札を出すと簡易検査機を通したりするし、コンビニでも店員が透かして見て、疑う素振りをすることがある。ホテルでも、レストランでも同様だ。

ニセ札だけではない。数年前の北京の遊園地での「ニセドラえもん」事件が記憶にある人もいると思うが、中国が「ニセモノ天国」であることは以前から有名だ。日用品やブランド物だけでなく、薬や電気製品などあらゆるものにニセモノは存在する。

たとえばコンサートやイベントのチケット。今年2月、私が上海体育館の脇にあるプレイガイドのようなところを通りかかったとき、台湾の有名歌手のコンサートチケットや「世界フィギュア」のチケットを販売していたのだが、そこからわずか3~4m離れたところにダフ屋が数人立っていた。中には正規のチケットも混ざっているかもしれないが、ニセモノもある。ダフ屋は売ってすぐに逃げてしまうので責任を問いようがない。

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