新しい産直?ハマグリの産地「Amazon」の正しさ 「AIの進化」は私たちや社会に何をもたらすのか

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暦本:僕は水耕栽培に凝っていたことがあるんです。パクチーとかクレソンとかバジルとか、日当たりさえ良ければすごい勢いで育つんですよ。完全に一家庭の消費量を上回るぐらい採れるから、毎日のようにジェノベーゼをつくるような感じでした。

穀物は育てるのが大変なんだけど、ああいう葉物は繁殖力がすごい。光合成の威力に圧倒された。

落合:穀物は保存が利くから買い置きでいいけど、そういう葉物こそ新鮮なものが欲しいですよね。

葉物野菜はウーバーから産地直送

暦本:そうそう。もうちょっと技術が進んだら、葉物はスーパーで買わずに「自然」からの産地直送になるのかな。

落合:それが当たり前になったときに、人間はその松阪牛やパクチーを「自然」と感じるか、それとも人工環境でつくられた「人工物」と感じるか。裏庭でニワトリが産んだタマゴで目玉焼きをつくったら、「自然」の素材を料理した感覚になるじゃないですか。

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ウーバーイーツが持ってきたタマゴをそれと同じように違和感なく受け取れるようになるまで、あと何年ぐらいかかりますかね。僕はいまでも違和感なく、それを「自然」として受け取りますけど。外に取りに行くのも、ウーバーイーツの人が持ってきてくれるのも一緒じゃないですか。

何を「自然」と感じるかどうかは距離の問題で、そこには時間の距離、空間の距離、あとは意味の距離もあると思うけど、インターネットから来る物体との距離は自分が足を使って八百屋に行く距離より心理的に近いような気がするんですよ。

そう感じた瞬間に、「自然」に近づくので。コンビニがはさまるとみんな「自然」じゃないと思うかもしれない。ウーバーイーツの場合、一風堂のラーメンは一風堂から来ていると思っているから。

暦本:たしかに。ならば松阪牛は牧場、パクチーは畑から来たと思える。

暦本 純一 東京大学大学院情報学環教授、ソニーコンピュータサイエンス研究所フェロー・チーフサイエンスオフィサー、ソニーCSL 京都リサーチディレクター、博士(理学)

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れきもと じゅんいち / Junichi Rekimoto

世界初のモバイルAR システムNaviCam や世界初のマーカー型ARシステムCyberCode、マルチタッチシステムSmartSkin の発明者。1986年東京工業大学理学部情報科学科修士課程修了。日本電気、アルバータ大学を経て、1994年よりソニーコンピュータサイエンス研究所に勤務。2007年より東京大学大学院情報学環教授(兼ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長)。著書に『妄想する頭 思考する手』(祥伝社)などがある。

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落合 陽一 メディアアーティスト

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おちあい よういち / Yoichi Ochiai

1987年生まれ、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター長・准教授。一般社団法人xDiversity 代表理事。2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーなどを歴任。著書に『魔法の世紀』『デジタルネイチャー』(以上、PLANETS)など多数。

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