「役職定年」を廃止する日本企業が増えた理由 タイプ別で変わってくる新潮流への適応方法
同時に、役職定年には人事の停滞を防ぐという狙いがありました。近年のゼロ成長時代に管理職のポストはなかなか増えません。その限られたポストに定年延長で高齢社員が居座り続けることがないよう、役職定年によって若手の登用を進めたのです。
このように、急速に高齢化が進むわが国において、役職定年は企業が人件費負担を軽減し、組織の活力を維持するうえで、重要な制度でした。従業員数が500名以上の企業の約30%が役職定年を採用しています(人事院、2017年調査)。
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実力主義・成果主義で役職定年は消滅へ
ところが、制度導入から約40年経ったいま、役職定年を廃止する動きが広がっています。高齢化や人手不足といった変化を受けて、同制度が非合理的になりつつあるからです。
まず、年功序列を維持するのが困難と判断した企業が実力主義・成果主義の人事評価制度への改革を進めています。実力主義・成果主義で評価するなら年齢と賃金・役職は無関係なので、高齢社員の人件費負担や人事の停滞は問題でなくなります。
また、役職定年の悪影響、とりわけ職場の活力の低下を無視できなくなっています。役職定年で権限を失い、給料が減った元管理職は、働く意欲を失いがちです。そのことが職場の活力、ひいては生産性を低下させてしまいます。
定年が60歳だった頃は、そういう“働かないオジサン”は少数だったので、周りが業務の穴をカバーすることができました。しかし、人手不足が深刻化する一方、定年が65歳、70歳と引き上げられて高齢社員が多くなると、見過ごせなくなります。
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