「役職定年」を廃止する日本企業が増えた理由 タイプ別で変わってくる新潮流への適応方法

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では、実際のところはどうでしょうか。エネルギー会社に勤める40代の管理職は、会社が最近役職定年を廃止したことを心から喜んでいます。

「私の所属部門で管理職をしていた先輩は、役職定年になった途端に職場のメンバーからイジメを受け、ノイローゼになって退職しました。そういう悲惨な状況を間近で見ていて憂鬱だったので、役職定年が廃止になって本当に良かったと思います」

一方、「みんながハッピーとは限らない」とする見解もあります。役職定年を維持している機械メーカーの人事担当役員は、次のように若年層への影響を指摘しています。

「当社では、(役職定年の)56歳までは降格はなくきちんと給料を払う代わりに、その後は給料を下げさせてもらいます、という考え方です。仮に役職定年を廃止し、年齢に関係なく実力や成果で評価するなら、『56歳までは降格はなくきちんと給料を払う』という部分もなくなり、若手でも降格・大幅減俸というケースが出てくるでしょう」

役職定年の廃止というと、会社と高齢社員の利害対立という視点で捉えがちですが、若年層を含めて広く影響がありそうです。

体力が落ちた高齢者も猛烈に働くべき?

ところで、役職定年廃止や雇用延長といった制度改革を受けて、いま高齢社員の働き方が大きく変わろうとしています。最大の変化は、現役世代と高齢社員という区分がなくなることです。

これまで高齢社員は、役職定年あるいは定年に達するまでは猛烈に働き、その後は平社員あるいは雇用延長で契約社員になり、「シニア社員」などと呼ばれて閑職でゆったりと“社内老後”(筆者の造語)を過ごす、という働き方でした。

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