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「社内のコネ」「社歴」は、あまりに軽視されすぎだ 「社内調整のプロ」というキャリア選択もある

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例えば、Amazon社では、会議の際にパワーポイントを使わないことが知られています。会議の主催者はワードに文章を書き連ねた資料を用意し、それを最初に全員で黙読してから会議を始めるそうです。これは同社に特有の「お作法」以外の何者でもないでしょう。

また、世界中にオフィスがあるグローバル企業では、社内の人的ネットワークが異常に複雑です。隣に座っている人はイギリス本社の誰々が上司、さらにその隣はシンガポール支社長の部下、などといった状況はザラにあります。

社内の誰が何をやっていて、何を知っていて、誰にレポートし、何に決定権と影響力を持っているか。その全容を把握することは至難の業です。

極端な話、日本の支社長にとってさえ、日本の支社内に何をやっているのかよくわからない部署がたくさん存在することになるのです。そんな状況において、社内のコネが広い人は、人的ネットワークが比較的シンプルな日本企業以上に重宝されます。

グローバル企業であっても、むしろグローバル企業であればこそなお、「その会社のプロ」は生産性をキープするために必要不可欠なのです。

「社内調整のプロ」はキャリアの有力な選択肢

スペシャリストを育成すべく「ジョブ型採用」に舵を切る日本企業が今後増えてきたとしても、社内をよく知るジェネラリストを完全にゼロにしてしまう、などということはあり得ません。

ポータブルなスキルを持ったスペシャリストと、社内調整に長けたジェネラリストは、バランスを調整しながら常に社内に共存していなくてはならない存在なのです。

転職業界が盛り上がりスペシャリストが脚光を浴びる近年、そんな社内調整のプロたちは、自分のスキルを卑下することが多いように感じます。「こんな知識を持っていても、うちの会社じゃないと通用しないですから」と。

しかし、ジョブホッパーの筆者から見ると、そうした社内のジェネラリストは憧れと尊敬の的です。

「大転職時代」にポータブルなスキルを磨きたい、と考える人が多数派になってくると、むしろ「社内調整のプロ」は競争相手が少なく、それでいてニーズが高い「ブルーオーシャン」になってくるでしょう。逆張りの発想で「社内調整スキル」を磨くことで、安定的な地位と高水準の給料を手にすることもできるということです。

ポータブルなスキルを持ったスペシャリストと社内のジェネラリスト。いろいろな会社や業界を渡り歩くスタイルか、1社に腰を据えるスタイルか。どちらにより適性があり、どちらが幸せな働き方なのかは本来、人それぞれなはずです。

だとすると、スペシャリストのポータブルスキルにこだわり、社内調整や社内の人脈を築くことを軽んじてしまうことは、自分の可能性をむしろ狭めてしまうことになるかもしれないのです。

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