ディズニーシー「3200億円投資」新エリアの勝ち筋 「来園者の高齢化」でも「量より質」へ転換進める

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ファンタジースプリングス開業で見込んでいる効果は絶大だ。オリエンタルランドは年間売上高を750億円押し上げるとみている。

今年4月に発表した2024年度の業績予想は売上高6847億円(前年度比10.7%増)、営業利益1700億円(同2.8%増)。売り上げ、営業利益ともに過去最高を見込んでいる。

しかし、業績絶好調の裏で直面しているのが、来園者の高齢化だ。

同社が毎年発行しているファクトブックによれば、2018年度は来園者の50%が18~39歳だった。それが2023年度には41%へ減少。一方で40歳以上の来園者は21%から33%に上昇している。

高齢化を招いた年パス休止と値上げ

この原因は、年間パスポート(年パス)の休止とチケットの値上げにある。オリエンタルランドによれば、年パス利用客の多くが学生や若年層の会社員だった。

「ディズニーの混雑状況を考えれば値上げは妥当な戦略。値上げをすれば、可処分所得の多い高めの年齢層の来園者が増える。オリエンタルランドも想定していた変化ではないか」。そう競合の幹部らはみる。

ディズニーシー
3350億円を投資して2001年に完成したディズニーシー(撮影:尾形文繁)

コロナ禍を機に、オリエンタルランドは入園者数を絞る反面、体験価値を上げることで1人当たり単価を引き上げる「量より質」の戦略に舵を切っている。年パスの休止や値上げはそれに沿ったものといえるだろう。

ファンタジースプリングスの開業後もその方針は堅持する。

アプリで対象アトラクションのスタンバイパスや有料のディズニー・プレミアアクセスの取得などが同エリアの入場には必要となる。エリアへの入場人数を制限することで快適性を保つと同時に、有料チケットの販売によって1人当たり単価をさらに高めることができる。

ただ、若年層の来園者は将来のファミリー層。次の世代の顧客を生み出す可能性の高い顧客セグメントだ。意図的に作り出しているともいえる来園者の高齢化。価格戦略とうまく折り合いをつけていくことが重要だろう。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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