「セクシー田中さん」報告書に批判殺到の根本原因 日テレ、小学館の報告書で当事者の証言が相違

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この事件、日テレのドラマ制作の現場では何が起きていたのでしょう。日テレの報告書からその状況が読み取れます。

ドラマ制作にあたってはまず原作をもとにドラマ化するためのプロットを作成し、ラリーの後で原作者からOKが出たら脚本作成に進みます。

小学館の報告書では触れられていないのですが、このプロットや脚本を作成するのは脚本家単独ではありません。コアメンバー5名(後半から6名)による合議で決まるのです。

『セクシー田中さん』のコアメンバーが誰なのか報告書では名前は仮名で、所属は不記載になっているのですが、おそらく日テレドラマ班のプロデューサー、アシスタントプロデューサー(AP)、制作会社の演出、助監督、そして脚本家などの陣容でしょうか。

脚本を書きあげるまでの流れ

漫画原作者の要望は小学館の編集者と日テレのプロデューサーの間でやり取りされます。そのことからSNS上では原作者の意見を無視してストーリーを作っていたのはプロデューサーではないかという非難が散見されます。ただその見方も正確ではありません。

ドラマのストーリーのアイデア、つまりプロットと脚本は5人のコアメンバーが行う「本打ち合わせ」と呼ばれる会議で検討されます。本打ちの会議は毎回2時間以上の話し合いになることが多く、合計で30回程度行われています。その決定に沿って会議メンバーでもある脚本家がプロットないしは脚本を書きあげると報告書に書かれています。

ではこれらコアメンバーの視点でみると事態はどのように推移していたのでしょうか? 後編では日テレの報告書と小学館の報告書を読み比べることで、ドラマの制作現場では何が起きていたのかを見ていくことにしましょう。

後編記事:「セクシー田中さん」報告書に欠けた"問題の本質"

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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