「セクシー田中さん」報告書に批判殺到の根本原因 日テレ、小学館の報告書で当事者の証言が相違

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さて報告書によれば最初の掛け違いは4月、日テレから脚本になる前のプロットが送られてきたところから始まります。

原作をもとにしたドラマが作られる過程では、ドラマ制作チームと原作者の間でラリーとよばれるやり取りが行われます。まずプロットが提示され、何回かのラリーが行われ、それがおおむね認められた段階で脚本が書かれ、そこでもラリーが行われ、第二稿、第三稿と進み、最終稿が完成します。

日テレから送られてきたドラマのプロットに対して、原作者は登場人物の性格のとらえ方について説明したり、細かい修正を伝えます。ラリーでは原作者は修正等を求める都度、その理由までをも明確に書き、編集者が日本テレビに伝える作業を繰り返しています。

脚本家に伝えられなかったという原作者の要望

第3話のプロットでは原作のエピソードの順番入れ替えで流れが悪くなっている点を指摘して、「田中さんの頑なな心が、朱里や笙野達との小さくて大きなエピソードを順番に積み重ねる事によって、少しづつ(原文ママ)溶かされていく様子を丁寧に描いてるつもりなんですが…」と原作中のエピソードの順番を原作に従ってほしい理由を伝えています。

ところが報告書ではこれらの原作者の要望は「脚本家には伝えられなかったようである」と記されています。この事実は、本件の大きな要素です。いくら説明をしてもその内容が十分には反映されない脚本に対して不信感が大きくなり、6月には原作者は脚本家を信頼できないと感じ始めます。

ドラマラストでは漫画で用意している結末を伝えているのにもかかわらず、プロットでは異なる結末が提案されます。そのため6月の段階ですでに原作者は終盤のドラマオリジナル部分は自分で書きたいという意向を示すことになります。

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