映えスポットに変貌「横須賀」に何が起きたのか 建てない土地活用と前のめりな再開発事情

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不動産活用というと、多くは建物を建てることを考えるが、何も建てることなく、つまり費用をかけずに稼げる土地にするという手法は非常に斬新で、できるだけ費用を抑えて賑わいを生みたい自治体には願ってもないコンテンツ。地元選出の衆議院議員・小泉進次郎氏も訪れたというから大きな期待が寄せられているのは間違いない。だが、ピンクの目立つオブジェには反対の声が出てもおかしくない。

野比海岸を訪れた小泉議員(写真:ブルースカイ提供)

そこを上手にまとめて短期間で実現させたところに、2000年以降、深刻な人口減少に悩む横須賀市の「何とかしなくては」という前向きな姿勢が見られるように感じた。

このほかにも、2022年に惜しまれつつ解体された建築家・黒川紀章氏による中銀カプセルタワービルのカプセルを宿泊施設として活用するというプロジェクトが発表されたが、これはエンジョイワークスがアプローチし、設置されることになったのも横須賀市だった。世界で唯一、中銀カプセルに泊まれる施設となれば世界中の建築好きが注目する。こちらも意欲的な取り組みである。

だが、それ以上に「前のめりさ」を感じるのが、京急線横須賀中央駅前での多数の再開発計画である。横須賀市では拠点市街地である追浜駅、横須賀中央駅、京急久里浜駅周辺の3つのエリアで建物更新を積極的に支援しており、追浜駅、京急久里浜駅周辺でもそれぞれに開発への動きがある。

そのうち、横須賀中央駅前のメインストリートである県道26号沿いでは、通りに面した13ほどのブロックのうちの1カ所ですでに再開発が完了。1カ所で解体工事が進展中で、2カ所で再開発準備組合が発足、3カ所で再開発協議会などの組織が立ち上がっている。これがすべて実現するとなると、駅前には高層建築物が並ぶ、丸の内のオフィス街と見まごうばかりの風景が出現することになる。

この背景には、市が2012年度に策定した『横須賀中央エリア再生促進アクションプラン』に基づく特別減税や、商業の活性化などを促すための奨励金制度がある。

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