金利上昇すると「資産価格が下がる」納得の仕組み 東大名誉教授が経済学的視点で教える投資知識

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金利と資産価値の関係
・金利が上がると資産価値は下がる
・金利が下がると資産価値は上がる

上記のケースでは、あくまで2年分だけを比較しただけです。

しかしこれが無限に続くと仮定すると、少しの金利変動が大きく資産価格に影響します。金利が上がると資産価格は下がる。将来の収益の「現在価値」を考えるときには、金利で現在価値に「割り引く」という考え方が重要なのです。

株価の先行きを正しく予測する

ここでお伝えした知識を使えば、株価の先行きを正しく予測することができます。

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例えば、毎期の株の配当が10万円でそれが無限に続くとします。また金利は1%とします。この場合の株価は10万円÷0.01=1000万円になります。

もし金利が2%に上昇すると株価は10万円÷0.02=500万円となって、半分に下落してしまいます。このように、少しの金利の変化でも株価のような資産価格に大きく影響します。株価の先行きを予想することは難しいのですが、金利の動向をみると、株価がどう動くかが判断できるのです。

なお、基本的には金利が上昇すれば、株価は下落します。ただし、金利の上昇が経済活性化を反映したものであれば、将来の株式配当も増加しますので、株価は下落しないかもしれません。金利がどういう経済状況で変動するのかを理解することで、株価の先行きを正しく予想できるでしょう。

井堀 利宏 東京大学名誉教授

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いほり としひろ

東京大学名誉教授、政策研究大学院大学教授。東京大学大学院経済学研究科元教授。
1952年、岡山県生まれ。東京大学経済学部卒業、ジョンズ・ホプキンス大学博士号取得。東京都立大学経済学部助教授、大阪大学経済学部助教授を経て、1994年、同大学教授。1996年、同大学院経済学研究科教授。1993年、東京大学経済学部助教授。1993年~2015年の22年間、東大の経済学部及び大学院経済学研究科で教鞭をとる。2015年4月より政策研究大学院大学教授。

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