金利上昇すると「資産価格が下がる」納得の仕組み 東大名誉教授が経済学的視点で教える投資知識

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つまり、購入時点で株式資産Aの価格が195万2000円であれば、株式資産Aを保有することは合理的です。

もし、株式資産Aの価格が200万円だとすれば、200万円の金額で株式資産Aを購入するよりも、100万円は手元に置いといて、残りの100万円を銀行預金したほうが得です。なぜなら、200万円のうち100万円を預金すると、2年目には105万円の収益が得られるからです。もし株式資産Aを保有しても、2年目の収益は100万円にしかなりません。

逆に、株式資産Aの価格が195万2000円以下であれば、銀行預金するよりも株式資産Aを保有するほうが2年目に100万円だけの収益(預金に預けた場合の収益よりも多い)が得られるため得です。そのため、株式資産Aへの購入希望が殺到します。

金利が上がると現在価値が下がる

では、このときの金利水準が10%であれば、どのように考えればよいでしょうか。同じように2年目の100万円を1年目に割り引きます。次のように計算できます。

2年目の収益の現在価値
100万円÷1.1=90万9000円
1年目+2年目の収益の現在価値
100万円+90万9000円=190万9000円

金利が5%のときと比べると、現在価値の合計は195万2000円→190万9000円と下がっているのがわかります。このように金利が上がると資産価値は下がるのが経済学の原理です。

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