米ファンド強気、金利高でも国内不動産は「買い」 ブラックストーン橘田代表「日本は米国と違う」

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――資産バブルの懸念はないのでしょうか。

リーマンショックと異なるのは、ファンドが借り入れによるレバレッジを抑えていることだ。当時は物件価格の8割以上を借り入れで賄うファンドが目立ったが、今は7~8割でもそういない。長期保有目的のファンドも増えており、彼らの借入比率は5~6割。われわれも、借りようと思えばもっと借りられるが一定水準に抑えている。レバレッジが低ければリターンも減るが、その分は物件の価値を向上させてキャッシュフローを改善させる。

懸念材料があるとすれば、私募ファンドや私募REITの乱立だ。あちこちで組成された結果、投資家の資金が枯渇しつつある。資金が集められなければ、彼らへの売却を念頭に物件を保有していたファンドやリース会社が処分に困る。物件の目詰まりが起きれば、流動性に悪影響が及ぶかもしれない。

ホテルは価格帯で明暗

――2021年に、近鉄グループホールディングスから「都ホテル 京都八条」を含むホテル8棟計2294室を取得しました。その後の進捗は。

京都八条は2023年8月に全面改装を終えた。宿泊単価は好調で、宴会やレストランの需要は非常に強くなってきた。主要顧客である日本人の団体旅行が戻れば稼働率がさらに上昇し、コロナ禍前よりも高いパフォーマンスになるだろう。

インタビューに答える橘田代表
橘田大輔(きった・だいすけ)/ブラックストーン・グループ・ジャパンの代表取締役、シニアマネージングディレクターで日本の不動産部門代表。コーネル大学ホテル経営学部卒業後、ドイツ銀行で日本の不動産取引の組成・執行を担当。2008年にブラックストーンに入社し、国内における不動産投資案件の取得と管理運用に携わる(撮影:今井康一)

日本のホテルは「インバウンドで盛り上がっているだけだ」とよくいわれるが、すべての施設が同じというわけではない。京都のホテルはラグジュアリーの価格帯が絶好調で、ゴールデンウィーク期間は宿泊単価が40万円に達した部屋もあった。

反面、中~低価格帯は課題に直面している。1室あたり2名利用でも2万円に届かない。特に低価格帯は供給過多で、ようやくコロナ禍前の水準を超えた程度だ。大阪でも低価格帯はやや軟調だ。一方で、東京はホテルの供給が多いにもかかわらず、観光客の人数も多いため需給が緩む事態にはなっていない。キャッシュフローに改善余地のあるホテルは、今後も取得していきたい。

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