休日を「寝てよう日」にする人、疲れが取れない訳 疲労を加速させる睡眠を「休養学」博士が解説

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実はたった1日、寝て過ごすだけでも、骨格筋という体を動かす筋肉の中の筋タンパクがおよそ0.5~1%減少するというデータがあります。

筋肉量は20歳くらいがピークで加齢とともに下がっていき、70歳くらいでおよそ6割に減少します。若さや元気を保つためには体を動かしたほうが体力を維持できます。現代人は、仕事中はどうしても座っていることが多くなります。自分の体力をなるべく高い位置に保つには、休日は体を動かすことを心がけてください。

睡眠と自律神経

自律神経を整える意味でも、寝過ぎはよくありません。自律神経は交感神経と副交感神経の2種類があり、昼と夜の交代制ではたらきます。

1日24時間を、昼と夜の2つにわけてみましょう。朝6時から夕方の6時までが昼間、夕方の6時から朝6時までを夜間とすると、昼間は交感神経が優位の時間帯です。

朝、目が覚めるのは交感神経が優位になり、コルチゾールという興奮系のホルモン物質が分泌されるから。おかげで血圧も少しずつ高くなってはっきりと目が覚めシャキッと活動できるようになります。お昼ごろは活動に最適な体調になって、考える速度や動作の速度が最高に速くなります。体温も1日でいちばん高い状態です。

夕方を迎えると、交感神経から副交感神経にスイッチします。徐々に睡眠誘発ホルモンであるメラトニンが脳の松果体というところから出て、体の深部体温が1.5度〜1度下がると眠くなってきます。睡眠中、副交感神経がしっかりはたらくと、性ホルモンや成長ホルモンなどが盛んに分泌されます。体温は朝方に一日の中で最低になります。

そして再び朝になります。このように私たちの体は1日のサイクルを刻んでいるわけです。生物としてのリズムに反した生活をしていると、当然疲れやすくなり、自律神経も乱れて、負のスパイラルに突入してしまいます。

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