■コンテンツにも一縷の望みはあるも、やはり付録頼みは続く
出版関係の仕事に長年携わっている人間、特にかつて、雑誌が人々の欲望を駆り立て、ファッションにしろ、ライフスタイルにしろ、バイブルのように消費された時代(アンノン族やPOPEYE、ホットドッグ・プレスなど……)を知る人間にとっては、「今の編集者の力が落ちた」と、日経のようにコンテンツ寄りの見方をするのかもしれない。
「力のある編集者が育てば雑誌は売れる」と楽観視する声が未だに聞こえるのも事実だが、時代は大きく変わったことも認識したい。インターネットの登場で、個々の情報ニーズをピンポイントで満たすことが可能になった。その道のプロやその土地の人でしか知りえない情報が、いとも簡単に手に入る(ググる能力が必要)。
背景には、個々人が帰属意識を持つトライブの細分化という事情がある。雑誌だけではなく、CD、ゲーム、すべてが売れ行きを落としている。マスに向けたマーケティングが意味を失い、個々のトライブに向けた発信がメインになったのだ。
(とはいえ、多くの雑誌を愛読する筆者としては、トライブのタコツボを串刺しするような力のあるコンテンツにも希望を持っている。「AKB48」や「もしドラ」など広く消費される実例が、少ないとはいえ、存在する)
「読者」「消費者」と市場を一律に見ることを改める時期にきているのだと考えている。その意味では、付録に対する、市場全体としての「飽き」は否めないが、「地方需要」は確かにあるだろう。なぜ、地方なのか。それは、都市部ほど簡単にブランドものやオシャレなものに触れる環境にないからだ。それが、近所の書店やコンビニで手に入れられる。その新たな流通チャネルとしての役割に対する支持はまだ続くだろう。
具体的に考えてみよう。ターゲティング・ポジショニング・4Pをきちんと整合させて考えることがポイントだ。
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