子ども望む男女の「はしかワクチン接種」の重要性 免疫がない人の感染リスクは思った以上に高い

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2018年にニューヨークで起こった流行に関しては、2020年にニューヨーク市保健精神衛生局などの研究チームが、詳細な研究結果をアメリカの『ニューイングランド医学誌』に報告している。

このときは、イスラエルから帰国した感染者を発端とし、計649人に感染が確認された。感染者の年齢の中央値は3歳で、81.2%が18歳以下だった。また、37人(5.7%)が肺炎と診断され、49人(7.6%)が入院、このうち20人(3.1%)が集中治療室(ICU)での管理が必要となった。

健康な子どもでも感染したら、3.1%に集中治療管理が必要になるというのだから、麻疹は恐ろしい。

麻疹の合併症は先に挙げた肺炎以外にも、中耳炎(7~9%)や脳炎(0.1%)、亜急性硬化性全脳炎(頻度はまれだが、数年後に起こる重篤な脳の病気)などがある。

実は、この『ニューイングランド医学誌』に載った研究には、重要な問題が隠されている。

実はこの地域では、MMRワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪の混合ワクチン)による自閉症の副反応が問題視されて以降(のちに無関係と判明)、反ワクチン意識が強まり、ワクチン接種を控える人が多かったのだ。 感染者の73.3%はワクチンを打っておらず、7.1%は打っていても1回だけだった。

この研究からいえることは、麻疹に対する免疫がまったくない人は、感染リスクが非常に高く、気を付けなければならないということだ。

1歳未満の子が感染リスク

実をいうと、日本にも同様(免疫がなく感染リスクが高い)の人が存在する。それは1才未満の子だ。

麻疹を予防するには、ワクチンを打つしかないことは前回(流行危機なのに「麻疹ワクチン」が足りない大問題 )ご紹介した。

感染研によれば、2回接種で99%の確率で感染を予防できるため、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を、1歳のときと小学校入学の前年に合計2回接種することになっている。

これだと未就学児は十分な免疫を持っていないことになる。特に1歳以下は一度も麻疹ワクチンを打っていないので、彼らが感染すれば、ニューヨークの感染者と同じような事態になりかなねい。

幸い、出生後しばらくは妊娠中に母体から乳児に抗体が移行するため、麻疹に対する免疫があり、出生直後の感染リスクは高くない。

しかし、それも一定期間だけだ。

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