ストーカー度合いはエスカレートしていきます。でも、なぜか深刻な被害に遭っていないように見えなくもないのです。強姦の恐怖感がないことや、コメディタッチで描かれていることも大きそうですが、全7話のうち3話までは引っかかりを覚えながら進んでいきます。むしろそのワケを突き止めたくて見進めてしまうのかもしれません。
ネット上でさらされる実在の女性の素性
弁護士を名乗って忙しいキャリアウーマンを装い、ドニーに付きまとう中年女性のマーサを演じるジェシカ・ガニングの演技力にも圧倒されます。気が触れたような笑い方は、怪しさ極まりないマーサをうまく表現しています。ちなみにタイトルの「私のトナカイちゃん」は、マーサが一方的に気に入って呼んでいるドニーの愛称です。
インパクトがあり過ぎるこのキャラクターを巡って、一部の視聴者がネット上でモデルにした実在の女性を特定する事態まで引き起こしています。その実在の女性は素性がさらされたことで名誉を傷つけられたと主張する一方で、YouTubeの人気番組に顔出しで出演して作品を批判、さらに配信したNetflixを相手に訴訟を起こそうとしています。アメリカやイギリスのメディアが報じ続けている様子からは、ゴタゴタはまだ収まりそうにありません。
そもそもストーカー被害に遭った男性本人がドニー役を演じていることにも驚きます。役者かつコメディアンでクリエイターのリチャード・ガッド自身の体験をもとに創作したドラマなのです。もともとガッドが一人芝居で語っていたストーリーでした。その一人芝居がスコットランドで開催される世界最大級の芸術祭「エディンバラ・フェスティバル・フリンジ」でステージ・エジンバラ賞を受賞したことでさらに話題になり、Netflixでドラマ化されたというわけです。ガッドはドラマの脚本も手掛け、エグゼクティブプロデューサーも兼ねています。
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