中国の石炭産地に「カーボンニュートラル」の試練 雇用縮小、財政逼迫、環境修復など難題が山積

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縮小

なかでもインパクトが甚大なのが雇用の縮小だ。レポートの予想によれば、山西省では2030年以降、石炭の採掘量減少や採掘作業のスマート化による生産性向上などにより、石炭産業の雇用が激減する。

石炭の採掘量減少は地元の雇用に甚大なインパクトを及ぼす。写真は中国の石炭出荷施設(国家能源集団のウェブサイトより)

石炭の鉱山や選炭施設は、機械設備や資材、関連サービスなどの購入を通じて、地元のさまざまな業種の経営を支えている。採掘量が減少すれば、その影響は石炭産業以外の雇用にも波及するのが避けられない。

問われるコスト負担の公平

レポートの推計によれば、山西省の石炭産業が間接的に支える就業人口は2022年時点で約335万人。しかし経済発展モデルの転換が進めば、2030年までにそのうち87万~160万人、2060年までに268万~331万人が転職を余儀なくされるという。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

環境にやさしい低炭素型社会への移行は、(中国社会全体にとって)極めて公共性の高い取り組みだ。にもかかわらず、そのためのコスト負担はCO2排出業種の労働者、企業、地域に偏在し、受益者が(コストを)自発的かつ公平に分担する形にはなっていないと、レポートは指摘する。

このような負担と利益のアンバランスを解消するには、構造転換の過程で生じる雇用問題に対処するだけでは不十分だ。公正な配分の原則に従い、産業構造の多様化や生態環境の修復などの課題にも同時に取り組むことが求められている。

(財新記者:楊玉琪)
※原文の配信は5月15日

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