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「日本の発酵食品」西洋との比較で決定的な違い 東洋文化圏でカビを利用する発酵食品が多い事情

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また、例えば味噌や醤油の原型が中国の醤や豉にあったり、清酒や焼酎の原型がアジアから伝わったりするなど、日本の発酵食品とアジアの発酵食品の共通性は高いです。日本でも、「いしる」や、「しょっつる」などの魚醤がありますが、東南アジア地域でもニョクマムやナンプラーなどの魚醤類が有名であることは、すでにお伝えした通りです。

ヨーロッパ地域の発酵食品を用途別に分類すると、次のようになります。

調味料……バルサミコ酢、リンゴ酢、ワインビネガー、バター など
アルコール・飲料……ワイン、ブランデー、ビール、ウイスキー、ウォッカ など
主食……パン など
おかず・副菜……チーズ、ヨーグルト、ピクルス、ザワークラウト など

続けて、発酵食品の原料に着目してみましょう。米や麦や豆などの「穀物」の他、日本のたくあん(大根)、ドイツのザワークラウト(キャベツ)などのような「野菜」、ブドウからできるワインのように「果実」、寿司や魚醤などのような「魚」、チーズやヨーグルトのように「乳」を原料としたものがあります。

(出所)『ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵』

この表からもわかる通り、東洋側は調味料や魚を発酵食品にする傾向があると言えるでしょう。対して、西洋側は、果実や乳を利用した発酵食品が多いという傾向があります。

果実や乳の発酵食品が東側に少ない事情

果実や乳を発酵食品に使った発酵食品が東洋側に少ない理由としては、やはり、温暖湿潤であることが挙げられます。

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温暖湿潤で、さざまな微生物が活動しやすい地域では、果実や乳を発酵食品にしようとしても、有益な微生物が繁殖するより先に、有害な微生物が繁殖する可能性が高いからです。ブドウなどの果実も同様です。

実際、日本でも奈良時代には動物の乳を利用した発酵食品があったようですし、日本列島にいた人々も、縄文時代などでは果実を採取し、果実由来のお酒をつくっていたと考えられますが、それらが、味噌や醤油、日本酒などのように定着することはありませんでした。

一方で、同じアジア地域でも比較的乾燥した中央アジアでは、ヤギや羊の乳でヨーグルトをつくったり、時には、アルコール飲料も乳からつくったりしています。

お酒の神様と言われ、発酵学の大先人である坂口謹一郎先生は、「多くの国では酒の原料はその国民の主食と一致することが通則である。したがってその原料がその土地の気候風土あるいは文化の生産物であれば、それからできる酒もまた、必然的に同様の影響の下に生まれたものといわざるをえない」と述べています。

まさに、気候風土が、育つ作物や活躍する微生物を選び、地域の発酵食品になっていったのです。

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