「日本の発酵食品」西洋との比較で決定的な違い 東洋文化圏でカビを利用する発酵食品が多い事情
発酵食品の臭さをしめすAu=アラバスター単位という単位で、納豆が452あるのに対して、シュールストレミングは8070もあります。現地、スウェーデンでは屋内での開缶が法律で禁止されているそうです。
その他、アラスカで長年つくられているのは、鳥の内臓に魚を詰め込んで、地中で何年も眠らせてつくるキビアックという発酵食品もあります。現地の人にとって、貴重なビタミン源であり保存食です。
アジアの内陸部では、チンギスハンを産んだ騎馬民族が馬やヤギの乳を利用してチーズをつくっていますし、アフリカ地域では、バナナや植物の種子などを利用して、味噌状のペーストにしたりアルコール飲料にしたりするなど原始的な発酵食品が多数存在しています。
さて、世界の発酵食品を2つの視点で分類してみましょう。
1つは、微生物による分類
2つは、用途・原料による分類
です。
世界の発酵食品の分類①微生物による分類
発酵食品に使われる微生物を、世界地図に重ね合わせると、大きくは2つに分かれます。ここでは分かりやすく、アジアからヨーロッパの範囲に話を限定したいと思います(なお、ここでは、東洋と西洋の境目を、メソポタミア文明とインダス文明の間ぐらいに置きたいと思います)。
大きく分けると、東洋側にはカビを利用する発酵食品が多いです。麹菌を使う味噌や醤油、日本酒、焼酎などだけでなく、中国ではクモノスカビを使ってお酒をつくりますし、インドではテンペ菌というカビを大豆に生やした発酵食品が食べられています。
対して西洋側は、ビールやワイン、パンなど酵母だけを利用する発酵食品や、チーズ、バター、ヨーグルト、ピクルスなど、単一の微生物でつくられている発酵食品が多い傾向にあります。