「タリーズ」現地での豆生産の知られざる取り組み 世界30カ国以上と取引するスタバとの違いは?
一般にコーヒーは、生産農家がコーヒーチェリー(見た目がサクランボに似た実)を栽培・育成し、収穫されたコーヒーチェリーの実を取り出し、精選して(生豆=なままめの状態で)出荷される。この生豆を焙煎(加熱・加工)すると茶褐色のコーヒー豆になる。
スターバックスは、南米を中心に世界30カ国以上のコーヒー生産国と取引し、「コーヒーのエシカル(倫理的)な調達」という厳しい基準を設け、グローバル体制で調達する。
これに対してタリーズは、国内の担当者が定期的に産地を訪れ、生産者と一緒にコーヒー豆の品質向上に取り組む。そこで得た成果や情報を店舗スタッフと共有し、時には店舗でコーヒーを淹れる。川上から川下まで同じ人が担うのが特徴だ。
「ペルー」で苗木から取り組んだコーヒーも発売
「5月10日に『ペルー ティピカ100% センフロカフェ』(150グラム、税込み2550円)と『ペルー ゲイシャ100% センフロカフェ』(150グラム、同2850円)』という限定豆を発売しました。ティピカ種の豆はクリーンで透き通るような味わいで、ゲイシャ種の豆はまるでジャスミンのような華やかで上質な酸味があります。『ペルー接ぎ木プロジェクト』で収穫し、コーヒーマスター(※)在籍店舗限定で販売しています」(渡邊氏)
※「コーヒーマスター」:タリーズの社内資格で、同社のコーヒーに関する知識に精通し、高度な抽出技術を持つ従業員のこと。現在全国で50人弱いる。
今回、店頭に並ぶまでの苦労は多かったようだ。少し専門的になるが渡邊氏はこう語る。
「約4年かけて、ようやく本格的に収穫できました。良質なコーヒー育成も目的で、ペルー接ぎ木プロジェクトは、ペルーに残る“ティピカ種のほか、ゲイシャ種、タビ種”という3つの品種で実施しましたが、本格生産できたのがティピカとゲイシャです。
農業で昔からある“接ぎ木”手法を用い、それぞれロブスタ種という丈夫な品種を土台につなぎ合わせました。初収穫は2021年でわずか数百グラム。コロナ禍で現地に行けず、日本に届いた豆をカッピング(品質と風味を評価する手法)した結果、まだ味わいの特徴が弱かった。それでも個性の違いがあり、木の成長に期待して栽培を続けてもらいました」
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