ブラザー工業が攻めきれず、「同意なき買収」断念 狙われた側のローランドDGは巧みな試合運び
価格引き上げ以上にディスシナジー論争が注目されたのは、ローランドDGやタイヨウのメディア露出の増加が背景にある。ディスシナジーについて言及を始めた後、両者は雄弁になった。それに比べてブラザーの沈黙ぶりは際立った。
メディアの論調を自社に有利にするため、PR会社を頼る企業は少なくない。今回でいうと、ローランドDGはパスファインド、タイヨウはボックスグローバル・ジャパン、ブラザーはKRIK(クリック)の支援を得た。
見逃せない「PR会社の2強」の支援
これらは商品や事業をアピールする会社と違って、買収合戦やアクティビスト対策といった有事におけるPRを得意とする。主要メディアの個別取材もセッティングする能力を持っており、 企業からするとありがたい存在だ。
この分野での2強といえるのがパスファインドとボックスで、ほかの案件では 買収する側の企業と買収される側の企業のどちらかを支援し、対峙することが珍しくない。だが今回はその2社が、MBOを実施する側にそろった。ローランドDGは、さぞ心強かったに違いない。
2015年に買収した英国の産業印刷機メーカーの利益創出に手間取っている中、新たな買収を行おうとしたブラザー。新興国市場の開拓など多額の費用を要する施策を迅速に行うためにと、MBOの正当性を主張したローランドDG。大義はどちらにあったのか。
答えが出るのは、しばらく先のことになる。
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