2011年夏ベスト経済書1位・『国家は破綻する金融危機の800年』を書いたケネス・S・ロゴフ氏に聞く--景気後退の視点でなく、金融危機としてとらえる

2011年夏ベスト経済書1位・『国家は破綻する金融危機の800年』を書いたケネス・S・ロゴフ氏に聞く--景気後退の視点でなく、金融危機としてとらえる

ベスト経済書1位に選ばれた『国家は破綻する』は、ロゴフ教授とラインハート教授による共著。ロゴフ教授に昨今の経済展望も併せて聞いた。

--米国では住宅バブルとその崩壊が起こりました。ヨーロッパ諸国は政府の債務危機に直面し、日本は金融・不動産危機を経験した。これらの問題についてどう考えますか。

米国はいまだに、典型的な金融危機後リセッションの真っただ中にあるようだ。ラインハートと私は、今回の景気回復について、米国が第2次世界大戦後に経験してきた「過去のリセッションの視点」からではなく、世界中の国々がこれまでに経験してきた「金融危機の視点」から観察するほうがよい、と主張してきた。

現在、各国の抱える問題はみな関連している。米国、英国、スペイン、アイスランド、これ以外にもいくつかの国は金融破綻か、それに近いものに見舞われた。住宅ローンと銀行貸し出しで調達された資金によって住宅価格が高騰し、そして暴落した。よくあるケースだ。現在ヨーロッパで起こっているのは、民間の借り入れ危機というよりも公的債務危機だが、これもよくあることだ。

もしグローバルな金融危機が発生していなかったならば、ヨーロッパの債務危機は、あと5年間は起こっていなかっただろう。金融危機で債券市場が不安定化したことによって、ヨーロッパではギリシャ、ポルトガル、アイルランドなどの国々が問題に直面する時期が早まった。

--資本主義にはこうした金融危機が付きものなのでしょうか。

「資本主義」が一般的にそうなのかどうかはわからないが、「債務牽引型の資本主義」はそうだと思う。世界の金融資産のうちかなりの部分が、非常にシンプルな負債契約という形を取っているが、これは大きな問題だ。債務は周期的に膨張と破裂を繰り返すからだ。エクイティ契約の比率を高めて、債務を物価連動型にすれば、安全度はずっと高まるだろう。たとえば、消費者が借金をして住宅を購入する際の住宅ローンは、その国または地域の不動産価格に連動させるべきだ。ほとんどの金融危機は債務をめぐって発生する。

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