2011年夏ベスト経済書1位・『国家は破綻する金融危機の800年』を書いたケネス・S・ロゴフ氏に聞く--景気後退の視点でなく、金融危機としてとらえる


 結論として言えることは、適切な政策の実施は、政府関係者が主張していたほど簡単ではない、ということだ。

--ヨーロッパ諸国の債務が原因となってリーマンショックのようなグローバル危機が再来する可能性はありますか。

その可能性はある。政府債務の危機は、金融危機から派生した典型的な後遺症だ。この点について、ラインハートと私は、力を込めて予測した。ヨーロッパ諸国はまだこの危機を封じ込めていない。今後1~2年間に、スペインとイタリアがユーロから追い出されるような大破綻が起こる可能性は、10%程度だ。今後5年の間に、主要国の一つがユーロから追い出される可能性は40~50%だろう。その一方でより可能性の高いシナリオは、ギリシャ、ポルトガル、アイルランドが構造改革を成し遂げ、ドイツがスペインとイタリアに保証を与え、ヨーロッパのリーダーたちが屈辱を味わってもユーロ圏は無傷のままでいる、というものだ。もしそうなれば、世界経済への影響はかなり食い止められることになるだろう。

Kenneth S. Rogoff
1953年生まれ。MIT博士。99年からハーバード大経済学部教授。専門は国際金融。2001~03年IMFチーフエコノミストを務めた。

『国家は破綻する金融危機の800年』
カーメン・M・ラインハート、ケネス・S・ロゴフ著/村井章子訳
日経BP社/4200円

■推薦者のコメント

・財政規律なき日本の必読書
 財政規律が失われつつあるわが国の必読書。目下のソブリンリスクは、金融危機から移行した債務危機の形態であることが歴史的に理解できる。(熊野英生)

・危機を回避する方策も
 本書が示唆するのは、今のわが国の財政状況はまさに「危機前夜」の様相だということ。財政危機、それに伴う金融危機を回避する方策も盛り込まれている。(土居丈朗)

・政治の劣化が破綻を招く
 国家破綻の経緯に共通点があることを示す。本書によれば、日本は、債務不履行かインフレにつながる可能性が高い。政治が劣化している状態では、可能性はゼロではない。(米山秀隆)

・世界経済を展望する一助に
 経済危機は繰り返されると、800年分の膨大なデータが明らかにし、世界経済展望の確かな手掛かりとなる。(井上寿一)

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