経常収支の不均衡の拡大、米国の「涙のない赤字」がついに限界に来た~米国債格下げが意味するもの--三國陽夫・三國事務所代表/エコノミスト

拡大
縮小


 日本の企業は高齢化の進展の中で、日本の消費者の評価を受けながら、「生産する」から「創造する」に変わっていく必要がある。輸入にはこうした改革を進める効用もある。

かつて戦国時代に日本の大名は金銀を保有していたが、江戸時代初期に中国から白生糸を輸入して、豪華な着物を競ってつくった。この呉服産業で成功したのが、尾形光琳の実家・雁金屋だ。
 
 そのうち、金の保有量が半減し、白生糸は輸入禁止となるが、その後、白生糸の国産化に成功し、白生糸は明治から昭和初期にかけて、日本の代表的な輸出品目となった。

企業が急激な円高に耐えられず、どうしても通貨の切り上げはできないというのなら、日本政府が米国政府に対して債権放棄を行うしかない。ケインズは「平和の経済的帰結」で「2国間の巨額な債権債務は決済されることがない」と指摘している。

みくに・あきお
 1963年東京大学法学部卒業、同年野村証券入社。75年野村証券退社、同年三國事務所を設立し代表取締役就任。2002年4月から04年3月まで経済同友会副代表幹事。09年末に格付け事業を終了しコンサルタント業に。著書は『円デフレ』『黒字亡国』など多数。
(聞き手:大崎 明子 撮影:吉野純治=東洋経済オンライン)

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT