ビール大手が繰り広げる買収合戦、鼻で笑う海外メジャー


世界のビール業界はこれまでに大型再編が一巡、海外メジャー4社で世界シェアの過半を占める。実際、キリンが今回買収した会社はビールでブラジル2位とはいえ、シェアは15%止まり。シェア6割超を握る同国首位は、世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(=ABインベブ、ベルギー)の傘下にある。

世界的なビール会社買収合戦の最中、キリンは総合食品メーカーを目指し、医薬品、健康食品、飲料、外食など事業の多角化を進めてきた。「スーパードライ」が主力のアサヒグループHDも総合化に軸足を移行。海外で買収した案件は、各社とも清涼飲料や乳製品などビール以外がほとんどだ。

だが、実はこうした動きは、世界の潮流に逆行している。海外のビールメジャーは本業のビールに特化することで高い収益を得ているからだ。

ABインベブは飲料やパブ事業を売り、そのキャッシュでビール事業のM&Aを繰り返してきた。「重視するのはあくまでもビール。中でも好採算なプレミアム市場だ」と、国際コミュニケーション部のミグエル・デーヴィスマネジャーは言う。

世界2位のSABミラー(英国)は飲料事業すら持たない。ベス・ロングクロフト広報部長は、「ただでさえ低価格帯が主流の新興国市場で飲料メーカーを買収する計画はない」との見方を示す。

嗜好品であるビールは利益率が一般的に10%と高い一方、飲料は3%以下と低採算だ。「ビールよりも販促費がかかる」(富国生命投資顧問の日比勝巳シニアアナリスト)ため、採算状況は厳しい。

ビール産業は固定費が重い典型的な装置産業のため、シェアが高いほど利益率も高くなる。海外メジャーは、「バドワイザー」や「ハイネケン」などブランドを絞ったうえで、買収先の販路を活用し、地元ビールとセットで浸透を図ってきた。

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