ただし、充電インフラには、EVを保管する自宅や事業所で定期的に行う「基礎充電」、外に出かけた際にガソリンスタンドでの給油のような感覚で使う「経路充電」、そして移動の目的地で行う「目的地充電」という、大きく3つのパターンをユーザーは理解する必要がある。
残りの課題、「車両価格が高いこと」と「充電時間が長い割に航続距離が短いこと」については、自動車メーカーが主導した商品企画では解決できない、というのが長年にわたりEVを取材してきた者の実感だ。
一般論では、車両価格が高くなるもっとも大きな要因は「駆動用電池の価格」にある。直近で、自動車メーカー各社の開発関係者は「電池コストは、新車価格の3〜4割」と表現する。その電池容量を大きくすることで、航続距離は伸びる。
「リーフとi-MiEVの時代」から「テスラの時代」へ
2010年代初頭、日産「リーフ」と三菱「i-MiEV」がEVの主流だったころ、自動車メーカー開発者の多くは、電池容量はコストやクルマの運動性能にも直結するだけでなく、リサイクル等での環境への影響から、「大きくすればいいのではなく、適度なサイズを考えていくべき」という「未来に向けた社会変化と、それにともなう消費者の行動変容」を期待していた。
それが、テスラが「モデルS」に大容量電池を搭載してきたことで、市場の見方が大きく変わった。テスラは充電時間を短くするため、自前で展開するスーパーチャージャーの高出力化を進めたのだ。
航続距離と充電時間(充電の高出力化)の観点で「ガソリン車、クリーンディーゼル車、ハイブリッド車と同等がそれ以上の利便性」を目指すという開発思想が、テスラを基点にメルセデス・ベンツなど欧米の大手メーカーで常識化するようになっていく。
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