世界の建築にも影響、日本発「メタボリズム」の正体 西洋建築と日本の歴史を通して見えてくるもの

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メタボリズムを象徴する黒川紀章さんの設計の「中銀カプセルタワー」。2022年に解体された(kash*/PIXTAピクスタ)
「建築」はその国の文化や考え方を表現するものであり、そこで過ごす人々に多大な影響を及ぼすといっても過言ではありません。数々の大学で教鞭をとり、国際コンペの審査員も務める建築家の国広ジョージ氏は「建築という教養を身につけることで人生はより豊かなものになる」と言います。今回は、建築を軸に日本と世界の歴史を振り返ります。
※本稿は国広氏の新著『教養としての西洋建築』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。

数々の「美」を生み出してきた西洋建築の歴史

建築にとって何を「美」と考えるかは、時代によってさまざまに変化してきました。その変遷をたどるのが、西洋建築史の中心テーマです。もちろん「用」や「強」を進歩させる素材や技術も次々と変化しますが、その新しい素材や技術が新しい「美」を生み出すきっかけにもなってきました。

ただし、西洋建築の美意識は「新しさ」だけを求めてきたわけではありません。時代の変遷の中で何度も『建築十書』が書かれたギリシャ・ローマ時代に立ち返るのが、西洋建築史の特徴であり、面白いところでもあります。たとえば15世紀以降の「ルネサンス建築」は、まさにそういうものでした。

キリスト教の聖書がすべてをコントロールした中世の封建体制の変革を目指した「ルネサンス」は、「再生」「復活」を意味するフランス語。ギリシャ・ローマの古典文化を復興させようとする文化運動です。そのため建築も、ギリシャ・ローマ建築を見直すようになりました。

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