「もしトラ」へ備え?習近平氏「5年ぶり訪欧」の思惑 なぜフランス、セルビア、ハンガリーだったのか

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今回は習氏自らが訪欧することで、欧州の中でも人権や環境にうるさいフランスに礼儀を払い、従属させやすいセルビアやハンガリーを利用してEUに切り込むための首脳外交の足固めだったように見える。

2025年のEU加盟を最大の国家目標に掲げるセルビアは、「一帯一路」(中国の巨大経済圏構想)で中国と急接近している。ハンガリーはEU加盟国の中では、対ロシア制裁に消極的で、中国からの投資にもオープンだ。

また中国と対立するアメリカでは、トランプ前大統領の再選の可能性が出てきている。自国第一主義のトランプ政権が誕生した場合、同じ自国第一主義の中国は、アメリカと距離を置き自律外交を展開するフランス、国益最優先の親中のセルビアやハンガリーとしっかりした信頼基盤を築いておきたいという思惑も透けて見える。

なお、今回訪問先となっていないドイツは今年4月、ショルツ首相が財界トップを引き連れて訪中したばかり。昨夏、中国経済への依存度を減らす「デリスク」(リスク低減)の戦略を打ち出してから初の訪中だったが、経済関係の強化を確認するだけにとどまっている。

国交樹立60周年で国賓訪問した習氏

最初にフランスを国賓訪問した習氏は、仏中国交樹立60周年を祝う式典に参加した後の記者会見で「第1に二国間関係の戦略的安定を強固にすること。第2に双方向投資の拡大のための良好なビジネス環境を提供すること。第3に人的・文化的交流の促進を加速させること。第4に環境問題などグローバルな協力に向けたより大きなコンセンサスを構築すること」で合意したと表明した。

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