「~してあげる」4歳娘の言葉で感じた日本の大問題 日本の福祉にも刻まれた「上下関係」への違和感

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人間は温かな生き物だ。困っている人がいれば、悪い状況をいい状況に変えたくて、何かをしてあげたくなる。

もちろん、目の前の人に働きかけ、何かを変えることは大切なことだ。だけど、ただそばにいてもらえるだけでも、私たちは生きる力を手にすることができる。

人は誰しもが歳をとり、子どもたちに、仲間たちに、大なり小なり助けられて生きていくことになる。だから、「共にある」ことのすばらしさ、そのとてつもないエネルギーを、私たちはもっともっと分かち合っておきたいな、と思う。

お金を貯め、サービスを買うことで保たれる自尊心がある。でも、お互いが「共にある」なかで、頼り合い、満たし合う社会が生まれれば、私たちは、お金ごときで、誰かに支配されなくてすむ。お金が少なくとも、安心して生きていける世の中になるのだから。

「共在感」でいっぱいの社会を作るために必要なこと

高齢者への仲間入りがそう遠くない、私自身のためだけではなく、子どもたちもまた、誰かと「共にある」ことの喜びのなかで生きていってほしい。

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もちろんそんな社会を作ることは簡単じゃない。でも、大事な人のそばにいて、じっと相手の思いに耳を傾けられる人間にならなることはできる。自分の子どもだけでなく、仲間に、若者に。そんな大人がどんどん増えていけば、世の中もきっと変わっていくに違いない。

<共在感>でいっぱいの社会。私の夢見る社会は、私の日常のなかで、私自身が親として、人間としてどう生きるか、という問いと地続きになっている。

井手 英策 慶應義塾大学経済学部教授

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いで えいさく / Eisaku Ide

1972年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。日本銀行金融研究所、東北学院大学、横浜国立大学を経て、現在、慶應義塾大学経済学部教授。専門は財政社会学。総務省、全国知事会、全国市長会、日本医師会、連合総研等の各種委員のほか、小田原市生活保護行政のあり方検討会座長、朝日新聞論壇委員、毎日新聞時論フォーラム委員なども歴任。著書に『幸福の増税論 財政はだれのために』(岩波新書)、『いまこそ税と社会保障の話をしよう!』『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)ほか多数。2015年大佛次郎論壇賞、2016年慶應義塾賞を受賞。

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