トコジラミ50回刺された専門家"うそ寝作戦"とは 今年の夏は増加?「1匹でも持ち帰ればアウト」

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実際、超高級ホテルからビジネスホテル、ネットカフェ、山小屋、さらに病院や老人ホームまで、宿泊をともなうあらゆる施設でトコジラミの生息が確認されている。

トコジラミの有無と施設の格式は基本的に関係ない。もちろん、個人宅も例外ではない。

自分を実験台に50回刺される実験

夏秋医師が診療した、あるいは相談を受けたトコジラミ刺症の件数の変化は明らかだ。

2015年までは年間1、2件程度だった症例は年々増え、2019年は6件に。

コロナ禍の3年間は人流が細くなり、ホテルや旅館の利用者も減ったせいか、2022年の症例は1件。その後、コロナ禍明けとともに旅行者数が回復すると、2023年の症例は11件と急増した。

「この勢いで今年はドーンと増えるでしょう」と、夏秋医師は予測する。

一方、こうも言う。

「トコジラミをむやみに怖がる必要はありません。正しい知識を持って、正しく対処することが大切です」

これまで夏秋医師はさまざまな害虫について自らを実験台にして皮膚反応や対応法を研究してきた。トコジラミも数十匹を飼育し、少なくとも40~50回は刺される実験を行ったという。

トコジラミには誤解も多い。たとえば、「トコジラミに刺されると、かゆくて夜も眠れない」とよくいわれる。だが、個々のかゆみは、蚊に刺された場合とさほど変わらない。1、2週間で自然に治る。

一般人にとって厄介なのは、知らぬ間に外出先から持ち帰ったトコジラミが自宅で繁殖し、毎晩刺されるようになるケースだ。こうなれば皮疹が多発して「夜も眠れない」事態となりかねない。

「実は、初めてトコジラミに刺されたとき、かゆみはないし、赤いブツブツも出ないんです」(夏秋医師)

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