トコジラミ50回刺された専門家"うそ寝作戦"とは 今年の夏は増加?「1匹でも持ち帰ればアウト」
トコジラミによる被害が激増している。昨年のトコジラミ刺症の診療・相談件数は前年比10倍以上に増えた。すでにトコジラミは日本に定着したと専門家は指摘する。
気温が上昇すれば、トコジラミの活動は活発化する。今年の夏は「ドーンと増える」という。
あらゆる施設でトコジラミの生息を確認
「コイツですか」
駆除業者はいとも簡単に瓶の中からトコジラミを机の上に取り出した。茶色い5ミリほどの体は丸みを帯び、パッと見、羽のない小さなゴキブリのようだ。
「でも、トコジラミはゴキブリと違って、指で押してもびくともしないんです。ほら」
そう業者は言い、実際にやってみせてくれた。記者も爪の先でグリグリ押してみると、「カリッ」。甲羅が割れるような音がした。硬い。敵は相当手ごわそうだった。
トコジラミは「シラミ」と名がつくものの、カメムシの仲間だ。体は扁平。ベッドや家具、調度品などのすき間に身を隠し、夜になると出てきて寝ている人の皮膚を刺して吸血する。
移動速度はゴキブリ並みで、カサカサと素早く動きまわる。
昨年、韓国やフランスなど外国で発生したトコジラミ被害が報道された。「海外旅行ではトコジラミに気をつけよう」と考えている人も多いのではなかろうか。
だが、兵庫医科大学の皮膚科学教授、夏秋優医師の指摘は衝撃的だ。
「トコジラミはすでに日本全国に定着し、刺されるリスクは国内旅行であっても全く変わりません」