なるほど、「困っている学校に寄付しましょう」というだけでなく、「自分の学校の設備を整えましょう」というだけでもなく、その両方を一度に実現する形にしたのが、なんともうまいところです。
ただの寄付であれば、単発や短期間で終わってしまいがちなところ、「自校の備品を買える」仕組みとセットにしたことによって、継続的な支援を可能にしたわけです。
厳密に言えば、義務教育にかかわる費用は公費で負担するのが原則ですから、PTAがベルマークで学校に備品を寄贈するのは法的に微妙なところもあるのですが、そこをいったん脇に置けば、けっして悪いものではないでしょう。
人件費がタダだから?煩雑な作業もそのまま温存
さて、ではなぜ母親たちは、このように意義深いベルマーク活動を、そんなに嫌がるのでしょう? 何がどう、よろしくないのか?
問題は「要求される作業のハンパない煩雑さ」にあります。ここで、ベルマーク活動の「詳細な作業手順」を説明しておきましょう。
①PTA会員、またはベルマーク係(委員)が、各家庭で商品パッケージに印刷されたベルマークを切り取り、学校に持参。校内に設置された回収箱に入れていきます。(ここまではいいのです。子どもでもできます。問題はこの先です)。
②回収されたベルマークを係(委員)が手分けして、会社ごとに分類します。協賛企業は全部で約60社。ベルマークは1~2センチ四方の小さなものが多いですから、大変細かい作業となります。
③これをさらに、点数ごとに分類します。たとえばマヨネーズでおなじみのキューピーの場合、0.5~70点までさまざまな点数があります。ちなみにベルマークが付いた商品は、全社合計で約2000種あるそうです。
④次に、会社&点数ごとに分類されたベルマークを、数えやすいようキリのいい枚数でまとめていきます。よくあるのは切り取ったマークを一列に並べ、セロテープで台紙(裏紙など)に貼りつけるというやり方です。
⑤台紙に貼ったベルマークを「会社ごとの専用の袋」にまとめて入れ、財団に郵送します。このとき、各点数の枚数や合計点数を計算して、所定の記入欄に書き込みます。なお、この「会社ごとの専用の袋」は財団から取り寄せる必要があります(他社の袋を流用することは厳禁)。
こういった煩雑な仕分け&集計の作業(上記②~⑤)を、ベルマーク係(委員)のお母さんたちが担っているわけです。
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