WBCを「クールで特別」に昇格させた大谷の功績 勝利へのこだわりとドラマチックな展開で魅了

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結果的にも、最後の試合で投げたことがシーズンに影響を与えたとは全く思わない。僕が感じたのは、この大会で日本を優勝させるんだという大谷の強い決意。

ディランが言ったように、「塁に出る」「ヒットを打つ」という積極的な姿勢が感じられた。それが彼の大事な場面での思考回路なんだと思う。エンゼルスで、大舞台でのそういう姿を見ることができなかったのは残念だった。

あと、彼が日本人にとって、文化にとって、国にとってどれほど大きな存在なのかを実感した。彼のバッティング練習を見ようというファンで球場が満員になるんだから。野球という枠を遥かに超えた存在なんだろうね。

メジャーで2年間もMVP級の活躍をした後に、故郷に帰って、母国のファンの前でプレーできたことは、彼のキャリアの中で最も思い出に残ることの1つになると思う。それ以上に特別なことはないと思う。

大谷とトラウトの2人でエンゼルスを勝たせることはできなかったけど、チームメイトとしてWBCで対決したことは、球団にとっても、歴史的な場面として語り継がれると思う。

大谷の存在が、大会を特別なものにしたのは間違いない。これまでのWBCは、物議を醸したり、面白みに欠けたりと、(アメリカでは)それほど重要だとは見られていなかった。

でも大谷の活躍で、WBCのステータスが上がったと思う。特に野球ファンにとっては、サッカーのワールドカップ的な存在になったと思う。本当にクールで特別なイベントになった。特に大谷がプレーしている時は、絶対に見なきゃと感じさせた。

1打席、1打席が特別な瞬間

ディラン メジャーリーグでは、いつも「サンプルサイズが大事」だと言われる。試合に負けても、「たかが1試合」「たかが1打席」と言う。

トラウトは大谷からヒットを打ちたかったか?

もちろん、打ちたかったと思うよ。でも大谷に三振を喫した後、打ちひしがれていたか?

たぶん、それはないと思う。「しょうがないか。1打席だけだったんだから」と思っているから。

でも大谷は、高校で甲子園に行っているし、1打席、1打席が特別な瞬間だと思っている。言い訳は許されない。日本では、「そういう大事な場面で、その人の本質が明らかになる」という見方が強いと思う。

そして明らかになったのは、大谷が大舞台でも結果を出すということだった。

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志村 朋哉 在米ジャーナリスト

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しむら・ともや / TOMOYA SHIMURA

1982年生まれ。国際基督教大学卒。テネシー大学スポーツ学修士課程修了。英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。米地方紙オレンジ・カウンティ・レジスターとデイリープレスで10年間働き、現地の調査報道賞も受賞した。大谷翔平のメジャーリーグ移籍後は、米メディアで唯一の大谷担当記者を務めていた。

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