キューバは被曝者治療の経験を持つ医師団を日本に派遣する用意がある--アレイダ・ゲバラ氏に聞く
--福島県を中心に放射線量が1時間1マイクロシーベルトを超える地域があり、特に子供を抱える母親などは大きな懸念を抱いています。こうした比較的放射線量の高い地域に住んでいる子供の健康への影響を、小児科医としてどのようにご覧になっていますか。
被曝線量だけでなく、子どもによっても差があるので一概には言えません。大切なのは子どもたちに倦怠感などの症状が出ていないかなどを定期的に見続けることです。
同時に、放射線量の高いところであれば、土壌の除染を一刻も早く進める必要があります。多くの人は現在住んでいる場所を離れたくないという思いが強いでしょうから、除染効果のある物質などを見つけて、土壌汚染を解決することが大切です。
先日、土壌向けの除染物質の開発を手掛けている日本企業の方とお会いしましたが、たとえば樹脂などには放射線物質を吸収する働きがあるようです。
--キューバでは今回の地震などはどのように伝えられたのでしょう。
地震と津波のニュースは速報で伝えられました。カリブ海にあるキューバも、台風などの自然災害が多い国なので、人々は非常に親身になって事態を見守っていました。キューバには「ヘンリー・リーブ」と呼ぶ1万人規模の医師団があるのですが、日本からの要請があればすぐにこの医師団を派遣する用意をしていました。
--今回の原発事故によって、原発は岐路を迎えています。今後、世界の原発政策はどのように変わるとお考えでしょうか。
原発以外にエネルギー源を探る方策はいくらでもあります。太陽光、地熱、波動など、再生可能エネルギーの利用をもっと進めるべきです。人間にとって害の少ないエネルギーを探すことは可能なはずで、すぐにでも新たな解決方法を探すべきです。
--キューバは過去に原発を建設しましたが、運転は断念した経緯があります。現在のキューバのエネルギー政策はどういったものでしょうか。
依然として化石燃料への依存度が高いのが現状です。水力なども利用していますが、キューバの河川は水量があまり豊富ではないという問題があります。そのほかにも、太陽光や風力など、安全かつ自然なエネルギーの活用を模索しているところです。