「電通でも残業60%減」を実現したシンプルな原則 付け焼き刃の対策より「経営者の覚悟」が大切
ただし、これはよくあるたぐいの「ノウハウ本」ではない。著者は本書を通じ、「ノウハウを活かす」ために必要な経営者の「覚悟」を読者とともに考えていこうとしているのだ。
ところで著者は冒頭で、経営陣がどれだけ必死に時短を呼びかけたとしても、社員がとる態度は「面従腹背」でしかないと指摘している。つまり表面的には従うように見せかけながらも、心の底では反対しているということだ。
たしかに思いつきで「改革」を口にしたがる経営陣の姿を日常的に見せつけられていたのでは、そうなってしまったとしても無理はない。しかし、だとしたら具体的にどうすればいいのだろうか? この点について、著者は興味深い主張をしている。
トップによるこのセリフこそが、従来の業務を改めていく「時短改革」というプロジェクトの成否を左右するというのだ。
「ムダがあるとすれば、それは会社が現場に押しつけてきたものだけである」というステートメントを揺るがすことなく、時短推進側にも徹底させることが重要だということである。
「なんの業務に何時間使っているか?」をリストアップ
現状を肯定したその先にあるべきステップは、「現状の徹底把握」という大きな一歩を踏み出すこと。「なんの業務のどの工程に、それぞれ何時間を使っていますか?」という調査を実施するわけである。なお、その際には設問の立て方が重要なポイントになるようだ。
② 業務単位ではなく、その業務を構成する「工程」単位に分解する
③ 期間は「月間」を基準とする。ただし、四半期に1回や年に1回しか行われないような業務に関しては、それぞれ別途把握する
(122〜123ページより)
上記の①については先述したので、②「業務を工程に分解する」についての説明を確認してみよう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら