「電通でも残業60%減」を実現したシンプルな原則 付け焼き刃の対策より「経営者の覚悟」が大切

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ただし、これはよくあるたぐいの「ノウハウ本」ではない。著者は本書を通じ、「ノウハウを活かす」ために必要な経営者の「覚悟」を読者とともに考えていこうとしているのだ。

ところで著者は冒頭で、経営陣がどれだけ必死に時短を呼びかけたとしても、社員がとる態度は「面従腹背」でしかないと指摘している。つまり表面的には従うように見せかけながらも、心の底では反対しているということだ。

たしかに思いつきで「改革」を口にしたがる経営陣の姿を日常的に見せつけられていたのでは、そうなってしまったとしても無理はない。しかし、だとしたら具体的にどうすればいいのだろうか? この点について、著者は興味深い主張をしている。

「これまで会社がムリに押しつけてきたムダな業務を、リストアップしてわれわれに教えてください」(120〜121ページより)

トップによるこのセリフこそが、従来の業務を改めていく「時短改革」というプロジェクトの成否を左右するというのだ。

時短が必要な状況になったのはすべて、会社が無関心だったのが悪い。工場と異なりオフィスのプロセス構築を、すべて現場に丸投げしてきた経営陣の責任である。その認識に立って時短改革を進めていくという姿勢を一貫させなければいけません。(121ページより)

「ムダがあるとすれば、それは会社が現場に押しつけてきたものだけである」というステートメントを揺るがすことなく、時短推進側にも徹底させることが重要だということである。

「なんの業務に何時間使っているか?」をリストアップ

現状を肯定したその先にあるべきステップは、「現状の徹底把握」という大きな一歩を踏み出すこと。「なんの業務のどの工程に、それぞれ何時間を使っていますか?」という調査を実施するわけである。なお、その際には設問の立て方が重要なポイントになるようだ。

① 「ムダな業務」をリストアップさせるのではなく、現状のすべての業務について、各業務にどれだけの時間がかかっているかだけを調査する。つまり「必要か、ムダか」という評価はいっさい入れずに、調査を進める
② 業務単位ではなく、その業務を構成する「工程」単位に分解する
③ 期間は「月間」を基準とする。ただし、四半期に1回や年に1回しか行われないような業務に関しては、それぞれ別途把握する
(122〜123ページより)

上記の①については先述したので、②「業務を工程に分解する」についての説明を確認してみよう。

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