「電通でも残業60%減」を実現したシンプルな原則 付け焼き刃の対策より「経営者の覚悟」が大切
ここでは例として「会議用の資料作成」という業務が挙げられているのだが、この場合は「会議の資料作成(という業務)にどのくらいの時間をかけていますか」と聞くのではなく、「会議の資料作成を5工程に分けたとすると、各工程にどれほどの時間をかけていますか」と質問するべきだという。
業務は多くの場合、複数の工程から成り立っている。結果的に業務の時間を短縮したいわけだが、そのためには1つひとつの工程の所要時間を減らすしかない。
そのため、時短対象の業務を工程単位で見ることが重要なのである。
工場改革と同じ視点を持つ
かつて工場の生産管理を徹底する際には当然のことだったこの考え方が、経営者にも当てはまるということだ。すなわち、工場改革と同じ視点をもってオフィスの時短を図ろうとしている姿勢自体が、社員の納得を得るカギになるというわけである。当然ながらそれはメーカーに限らず、工場部門がない企業にもいえること。
工程① 議題に沿って情報を収集する……2時間
工程② 資料にまとめる内容を考える……2時間
工程③ パワーポイントで20枚のプレゼン資料を作成……3時間
工程④ 管理職への事前説明とそれによる手直し……1時間
工程⑤ 会議の参加者30名分の資料を印刷しホチキスで留めて会議室の机上に配布……1時間
※以上、トータル9時間
(124ページより)
このように各工程に何時間かかっているかを、業務ごとにリストアップしてもらうのである。ただし、業務をどのような工程に分解するかを社員個々人に任せると、てんでんばらばらになって集計すらできなくなってしまう。そこで業務を次のように分類し(あくまで一例だが)、それぞれについて会社としての統一の工程一覧を提示するといいようだ。
業務b:特定の部門内で広く行われる業務。たとえば広告制作部門における「テレビCM撮影」
業務c:部門を超えて、管理職や専門職が行う業務。たとえば「人事査定」
業務d:汎用性がない業務
(124ページより)
この業務a、b、cは会社側で一元的に工程の一覧表を作成し、それを配布して記入してもらうといいそうだ。
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