第一に、ギリシャはユーロ圏にとってお荷物であり、弱い経済が離脱すれば、残ったユーロ圏はより強くなるはずだからである。
ギリシャがドラクマに移行すれば、ドラクマは大暴落(というより最初から異常な安値)するから、たとえギリシャのウェイトが小さいにしても、ユーロは上昇するのが加重平均の理屈からして当然のことだ。
「ギリシャ債務問題は、国際金融市場にとって、波乱であるから、リスクオフへ投資家が動くから、やはりユーロからドルへ資金が動き、ユーロ安になるのではないか」との反論がありそうだ。ところが、これも違う。
そこで第二の理由だ。ユーロは、ユーロ圏の極端な金利低下によって、いわゆるキャリートレード通貨になっている。
今のユーロは「バブル状態」
ユーロで借りてリスク資産に投資する動きになっているから、リスクオフになれば、ユーロで返済をする必要に迫られ、ユーロ買いが生まれるはずだからである。
しかし、世の中は理屈通り動かない。世の中とは、そういうものだ。というよりは、常に理屈と違う動きをするのだが、その理由は理屈が間違っているか、理屈を違う状況に当てはめているか、どちらかである。
ここでは後者で、現在のユーロの状況がユーロバブルであることを忘れていることだ。ユーロはバブルなのである。
昨年10月後半から今年4月前半までの約半年間で、欧州株式は暴騰し、ユーロも高騰した。これは、それまでの欧州が悪すぎたからだが、景気が回復したからといっても、株価の回復はスピードが速すぎた。これは経済の回復を先回りした、あるいは将来を織り込んだ、というよりは、これまでの反動で一気に買いが入り、モメンタム(勢い)ができて、オーバーシュートした(行き過ぎた)ということだ。
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