ギリシャ問題の本質とはいったい何なのか ユーロが下落する理由は見当たらない

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通貨ユーロも4月以降の回復は間違いで、米国との金融政策の違いを鑑みれば、強くなったのが間違いであり、ここも若干オーバーシュートしているから、いったんはユーロ安になるだろう。

日本株を含め、いったん世界株高の流れが変わる

これは、世界の株価についても同じだ。特に、日本の株価に対しては深刻な可能性がある。これまでの長期にわたる株価の上昇は、オーバーシュートの側面があり、バブルの波に乗るだけ乗っておこうという投資家の動きによって生まれたものだ。

バブルと言っても、激しい、広範囲にわたるバブルではないから、リーマンショック、パリバショック前のようなバブルとも、2000年前後のITバブルとも異なる。だが、いずれにせよ、モメンタムに乗って皆が買ってきた、つまり皆が買うから買うというバブル状態であることに変わりはなく、いったん流れが変わるだろう。

現在の中国の「株価バブル崩壊」は明らかにそうで、先に崩れた不動産から株式に資金が流れ込み、それが勢いづいただけであるから、バブルは崩壊することになるだろう。

今起きていることは、ギリシャ問題による資産市場の暴落ではなく、これまでのバブルの反動のきっかけが、ギリシャと中国株式バブル崩壊だ、というだけのことである。この2つが重なったことにより、どれだけ大きくなるか、ギリシャが余計にじたばたしているためにショックの受け止め方が大きくなるか、という問題なのだ。

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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