EU持続のために「欧州財政協議会」が必要だ 小国が差別的待遇を受けるリスクが減る

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一つの可能性は、EUの財政協約により設置された独立協議会だ。マクロ経済予測の正確性や、目標達成の見込み、そして財政の長期持続可能性を評価する権限を与えられている。しかしこれも、域内の財政規律にどこまで適合するかは不透明だ。

財政協議会に協約書の解釈をさせるのではなく、各国政府に負債の持続可能性に関してアドバイスする役割を持たせたほうがよい。それも単年度でなく、中期の財政規律にフォーカスさせるべきだ。

欧州財政協議会の必要性

協議会の独立性を保つために、ユーロ圏レベルでのトップダウンによる監視とコントロールが肝要だ。たとえば、すべての加盟国の協議会がその任務を達成するよう担保する責任を持つ、欧州財政協議会(EFC)の設立するといったことが考えられる。

EFCは長期志向であることに加えて、柔軟性を持った統治構造という難題への一つの解にもなるだろう。各国は、政策の実施度合いを評価するだけでなく、もっと構造改革を主導していくべきだ。

そうすれば、トップダウンの弊害で域内の小国が差別的待遇を受けるリスクも小さくて済むはずだ。欧州全体で財政の持続可能性を吟味するようになれば、EUから課せられた各国の年度予算目標はその役割を終えるだろう。

週刊東洋経済2015年7月4日号

ベネディクタ・マルジノット 伊ウーディネ大学政治経済学講師

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Benedicta Marzinotto

DG ECFINのエコノミスト。2010~13年に欧ブリューゲル研究所のレジデントフェロー。

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