日本企業の株価が海外より上がらない「根本理由」 アクティビスト丸木氏、経営陣に苦言を呈する

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以前、よく「会社は誰のものか」という議論がありましたが、お金の出どころ、オーナーという意味では明らかに「株主のもの」で議論の余地はありません。そして経営者は、主権者でもあるその株主によって選ばれ、利益を上げるように働くことを期待されたエージェントなのです。

その意味では、経営者の仕事は我々のようなファンドマネージャーと同じともいえます。

ファンドは出資者である投資家のためにリターンを出すのが仕事。経営者も株主のためにリターンを出し続けることが最大の仕事です。いかに効率良く、より大きなリターンを株主にもたらすかが目的であり、その手段としてステークホルダーを上手に使いこなすことが求められるのです。

そして、ファンドマネージャーが出資者に運用状況を説明することと同様、株主への説明は経営者の仕事の一部でもあるのです。

それが嫌なら、非上場企業になればいい。実際、昨今はシダックス、ベネッセホールディングスや大正製薬をはじめ、さまざまな理由でMBO(マネジメント・バイアウト:経営陣による自社買収)を行う企業が少なくありません。

なお、東芝の非公開化はMBOではありませんでしたが、不特定多数の株主やうるさいアクティビストに経営を左右されないためには、これも選択肢の1つでしょう。

繰り返しますが、これは株式会社の構造の基本です。ところが日本では、この基本があまり認識されていない気がします。経営者でさえよく知らないか、もしくは意図的に曲解していることが多いのではないでしょうか。

「黒字経営だからいい会社」は違う

私がこういう言い方をすると、しばしば経営者の方から反論されます。

「いや丸木さん、株主偏重はよくないよ」

「2019年には、米国でもビジネス・ラウンドテーブル(主要大企業のトップによって構成された財界ロビー団体)でさえ、株主偏重を止めてステークホルダーを大切にしようと言い始めたじゃないか」

そのとき、私が返す言葉は決まっています。

「少なくともバブル崩壊以降、日本で株主が偏重されたことなんて一度もないですよ」

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