小林製薬「紅麹問題」結局、何がマズかったのか? "添加物のプロ"が解説「根本原因」はここにある

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もちろん、管理はしていたのでしょう。しかし、「麹の品質管理の厳しさ」を知り、危機意識をもって対応していたのでしょうか

そこが疑問です。

人間は、自分が思うほど自然をコントロールできない

私たちは歴史の中で「発酵食品」の利点を見つけ、上手に食文化に取り入れてきました。

発酵食品は微生物のカビ(麹菌)、酵母、細菌の働きをうまく利用して作られ、それらが複雑に絡むことによって独特の風味が醸し出されるわけです。

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しかし、人間がその存在を解明し、培養できる微生物は、全体の1%にも満たないといわれています。

つまり、「人間は、自分が思うほど自然をコントロールできていない」のです。

人間の英知がまだまだ及ばない世界であることを自覚し、今ある最新技術を駆使してゲノムレベルで管理していくことが、微生物(麹菌)の管理には不可欠なのだと思っています。

そこを踏み誤って「過信」「慢心」が起きたときから、間違いが生じます。

今回の事故の根本には、それがあるように私には思えてなりません。

次回は「サプリメントの安全性」について、長年食品加工に関わってきた私の立場から述べてみたいと思います。

*このシリーズの1回目➡「紅麹問題」は"3つの基本、混同してる"人が多すぎだ

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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