「アンチヒーロー」ヒットを予感させる3つの要因 随所に注目ポイントが散らばっている

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一般的に、弁護士は守る人、検事は責める人、みたいな印象を抱きがちだが、決してそういうわけではなく、それぞれ訴訟に勝つのが仕事であって、そのためにはどんな手段もいとわないものとして描くドラマが近年は増えている。

リーガルものは法律という、この国に生きとし生けるもの誰もに関心がある題材である。ルールが明文化されるだけあって、誰もが理解できるし、法律の知識を得ることもできる。

緋山は現代のラスコリニコフなのか

『アンチヒーロー』でも明墨は、尾形を存在しない法律を使って騙した後、「ものごとを知らないとはおそろしいね」と言っている。法を知り学び、法をどう解釈するか自分なりに考えることで、よりよい生き方が見つかる可能性がある。また、現行の法がほんとうにそれでいいのか考えることの重要性を知る者こそが生き残ることができる。明墨はそれを体言している。

冒頭の明墨の信条から考えると、やむをえない事情で殺人を犯したことによって自分自身も関係者も不幸になってしまった人物がいるのではないか。例えば、ドストエフスキーの『罪と罰』のように、自身にとっては正当な理由のもとに、金持ちで強欲な老婆を殺害した苦学生ラスコリニコフのような人物がいるのかもしれない。

緋山は、町工場の労働者で、社長のハラスメントに耐えかねて殺害に及んだとされている。緋山は現代のラスコリニコフなのだろうか。

緋山が本当に無実であれば、明墨はやりすぎなところはあるものの、実に頭のキレる、名弁護士ということになる。が、緋山が実際殺していたとしたら、殺人犯を無罪として世に放つことになり、ちょっとこわい。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事