NTT「顔が見えない」と株主から問われた意味 過去最多来場の株主が求める新たなNTT像

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鵜浦博夫社長は「グローバルな成長」や「パートナーとのコラボ」を強調した(写真はモニター画面)

――ROE(自己資本利益率)についてお聞きしたい。中期計画において2017年度のEPS(1株当たり利益)を2011年度の倍にする(700円以上)となっているが、現状のROEは7%。外国人投資家はここを中心に見るのではないかと。ROEをどのくらいに上げようと計画しているのか?

澤田純副社長 社内でもROEで目標設定をするべきか、EPSかという議論はあった。事業的にはROEという会社も多いが、ROEは自己資本比率が分母になるので、直接見るならEPSのほうがわかりやすい、という考えだ。ROEは2015年度に8%に戻る。EPSを上げることはROEを上げていくことにもなるので、よりわかりやすい指標で目標としたい。

鵜浦社長 EPSの成長目標は海外の投資家からも高く評価されている。引き続きEPSの成長を通じてROEを改善していく。

今後も自己株取得を進める

――ROA(総資産利益率)についてどのように考えているのか?

廣井孝史財務部門長 日頃から資産をいかに効率的に使うかということに注力し、できるだけ少ない設備で多くの利益を上げることに取り組んでいる。こうした取り組みで利益を上げ、ROAも改善させていきたい。

――自己株取得について、金庫株にするのか消却するのか。今後も取得する予定はあるのか?

鵜浦社長 これまでも自己株取得が株主の共通の価値の向上につながるということで取り組んできた。取得した自己株は、一定の期間、自己株式の比率が高まった時点で消却する。今後とも継続して自己株取得に取り組む。

――2020年の東京五輪に向けた取り組みで、NTTグループはどのように宣伝していくのか。利益は発生するのか?

栗山浩樹取締役 ひとつはマーケティングの効果、ブランディングの効果がある。NTTは電電公社の時代から通信のフラッグシップカンパニーとしてやってきたが、今世紀は事業の軸足をブロードバンド、クラウドなどと変化させている。これからもグループが日本の代表的な情報通信分野の企業であると再確認し、信任をいただけるようにしていく。

また、オリンピックを契機として、情報通信全般について首都圏や地方でまちづくりが始まっている。全国のブロードバンド、通信サービス、通信システム、都市開発、エネルギーなど、総力をあげてビジネスの獲得に注力する。トータルでみて収益拡大を図り、中期計画の実現に取り組む。

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