国策ラピダス「補助金1兆円」注ぐ至難技術の成算 535億円投じる「後工程」でブチ上げた開発戦略

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新規参入となるラピダスは設立当時から「スピード重視」という戦略を強調してきた。短期間での製造を売りにすることで、AI半導体を中心に技術進化が早いメーカーからの委託を獲得しようという戦略だ。

そこで打ち出したのが、一般的には別々の企業や工場で分業して行われる前工程と後工程を同じ製造ラインで一貫して行い、製造スピードを上げるという手法だった。

日立製作所で前工程の半導体エンジニアだった、ラピダスの小池淳義社長(編集部撮影)

ラピダスの小池淳義社長は前工程の製造プロセスに長く携わってきた元エンジニアなだけに、これまでも前工程の方針については具体的に語ってきた。一方、後工程はこれまで方針が示されていなかった。

AI向けをはじめとした高性能半導体では、1枚のチップにすべての機能を詰め込むことは少なく、高性能化は前工程だけでは完結しない。機能ごとにチップを分けて製造し、それら複数のチップをあたかも1枚のチップかのように後工程でつなぎ合わせて造られるものが大半だ。

業界では「先端パッケージング」と呼ばれており、AI半導体として有名なアメリカの半導体メーカー・エヌビディアのGPUにもこの技術が使われている。

量産のハードルは高い

「(ラピダスが目指しているものは)正直に言って非常にハードルが高い。サンプルレベルなら可能かもしれないが、量産となると2027年までにはとても間に合わないのではないか」

東京工業大学でパッケージング技術を研究する栗田洋一郎特任教授は、今回ラピダスが明かした戦略をこう評価する。

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