このような体制は、リッチモンドのルーツであるファミレスのスタイルを踏襲して生まれた。さらに、これもロイホ同様だそうだが、他ホテルに「そこまでさせて大丈夫?」と心配されるくらい、アルバイトに権限を渡しているという。
「だからこそ自主性、主体性を持って働いてもらえます。指示を受けて働かされるのではなく、『自分たちで考えたサービスをしっかり届けたい』という意識で行動していることが、他ホテルとの大きな違いになっているのではないでしょうか」と宗像氏。
それを証明するのが、アルバイトから社員になり、その後幹部になっているメンバーの存在だ。実は取材相手の宗像氏、そして同席しているブランディングマネージャーの渡邉海氏も、元はアルバイトだったそうだ。お二人は、なぜ今も働き続けているのだろうか。
「さまざまな企画提案をして、それを実現できる環境にやりがいを感じました。1ホテルだけでなく横のつながりも多分にあり、全国からスタッフが一堂に会す機会も年に数回あります。賞与の時期にはグループホテルの無料宿泊券が出たり、各地でお互いにヘルプも盛ん。グループの一体感があるのも魅力でした」と、宗像氏は振り返る。
これにうなずきながら渡邉氏も、「たしかに。宗像さんとも同志みたいな関係です。アルバイト時代は違うホテルに勤めていましたが、ある企画で協働し、そこからは気軽に声をかけあう間柄になったんです。そんな方がたくさんいます」と語る。
渡邉氏がリッチモンドでアルバイトを始めた理由は、留学から帰り、「ホテルなら外国人が来て英語が話せるのでは」と思ったからだそうだ。結果、外国人客はほとんど来なかったそうだが、アルバイトの枠を越えて多くの権限を任され、日々ゲストと向き合う中で、接客業の虜になった。
「ビジネスマナーを学ぶ機会も多かったですし、それを他ホテルのスタッフとつながって共有し、仕事に活かせる環境が魅力に感じました」と笑顔で思いを馳せた。
ボトムアップで現場の声を
では、アルバイトが主体となって提供するリッチモンドのサービス姿勢とは、どういったものなのだろうか。尋ねると、宗像氏はちょっと困ったようにこう答えた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら